皆さんは日常的に鳥のさえずり(歌)を耳にしていることでしょう.これらのさえずりは鳥の種類によって固有であり,ときには曲のように聞こえることもあります.鳥の歌をデータとしてとらえると,時系列データとして扱うことができます.
これまでの研究で,二匹の鳥が相手の歌をまねつつ,相手からは真似されないように(敵対的模倣)学習をした結果生み出される歌がある種の複雑性をもつことを,コンピュータ上でシミュレーションすることで明らかにしてきました(図1).
図2のように,個体AとBは敵対的な競争を行いますが,個体Cは個体Bに対して一方的に真似を行っており,これを協調関係と捉えます.これまでの研究のように,学習が進むにつれて,敵対的なペアAとBは,さえずりの複雑性を増し,カオス時系列となります(図3左).一方で,協調敵な個体CもBの複雑なさえずりを真似することで,図3右のように,歌がカオス時系列となることを示しました.