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人工生命・人工知能・ディープラーニング

AIで動物の健康管理をする

動物園の動物たちは,野生とは異なる環境で飼育されていることから,ストレスを感じる場合も多く,健康管理が重要となります.飼育員の方は,一般に複数種の動物を担当していたり,動物の餌の準備や清掃,その他業務などもあり,いつも動物たちの様子を観察しているわけにはいきません.

そのため,普段の行動の変化や何かの異常を捉えるための補助的な役割として,カメラの映像を利用して動物たちの行動を人工知能(AI)が自動で認識して,どの動物がどの時間,何をしていたかを記録することを目指しています.それができれば,日々の活動記録が自動で得られ,以前の行動との相違点などにも気がつきやすくなると考えています.

現在は,札幌市円山動物園の全面的な協力により,図1のようなアジア象の映像について,象の位置を特定して追跡(トラッキング)を行い,その後,どのような行動を行っているかの行動分類を行っています.

 

図1 アジア象のトラッキングの様子

 

現在,歩く,止まる,上に吊るしてあるネットの餌を食べる,穴を掘って餌を食べる,遊ぶ,といった5種類の行動の分類を約76%の精度で分類できることを示しています[1].今後は,より精度を向上していくことを目標にしています.

他にも図2のようなホッキョクグマの異常行動の一つである常同行動(つねに同じような行動を繰り返す)を検出する手法の開発を行っており,かなりの高精度(95%以上)で常同行動を検知することができるようになっています.

図2 ホッキョクグマの様子(枠はホッキョクグマであることを認識していることを意味する)

 

[1] 加藤 圭吾, 野口 渉, 飯塚 博幸, 山本 雅人, カメラ映像を用いたYOLOとI3Dによる飼育動物の行動分類, 第21回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 (SI2020) 講演論文集, pp. 2084-2087 (2020)