震災がれき量の推定

東日本大震災に代表される災害時,被災地復旧に必要なことはなんだと思いますか?道路や水道などのライフラインの復旧,避難所の確保,行方不明者の捜索……挙げればキリがありません.しかし,以下の画像のように,そもそも被災地に大量のがれきや土砂崩れが発生すると,被災地そのものに立ち入ることすら難しくなります.
 
image001
 
(出典:朝日新聞社ホームページより)
 
被災地の復旧には,早急に輸送手段や仮置き場の位置や数の手配が必要です.それらを運ぶための道路の復旧も必要になります.そのためには,いち早く被災地で発生した被災がれき量を知った上で,復旧計画を立てる必要があることは想像に難くないでしょう.
 
しかし,先の東日本大震災でも様々な情報が錯綜していたことを覚えている方は多いでしょう.災害の被害が大きいほど被害状況の正確な把握も困難になってしまうのです.残念ながら現状では,被災地での被害状況の把握,すなわち,被災がれき量の推定について短時間で行う手法は確立されていません.
 
本研究では,震災後に撮影される被災地の空撮画像を複数用い,被災地の地図情報から家屋のある範囲を抽出し,畳み込みニューラルネットワークによる学習から,家屋倒壊判別を行います.そして,倒壊と判別された家屋をもとに被害面積を算出し,被害面積や事前に知られる建造物の建材の種類をもとに,がれき量推定につなげるのです.
 
image003
 
(空撮画像は日本国土地理院より・岩手県野田村の一部撮影地域)
 
現在までに,東日本大震災で被災地となった10地域の空撮画像を利用し,約86%の正答率を得ています.また,より多くの地域,および,条件の画像データを用意すれば,判別器の正答率の向上が期待できています.