生物の群行動における個体ルールの学習

自然界には鳥や魚に代表されるように、多くの生物が群れを形成して生きています。これらの群れは時折、まるでそれが意思のある一つの大きな生物であるかのように振る舞うことがあります。このような振る舞いは、群れを形成する各個体が非常に統率の取れた動きをすることで実現されます。しかし、群れの中には全体の行動を指揮するような個体は存在しておらず、各個体の局所的な相互作用から全体的な振る舞いが生まれていると言われています。では、各個体は周囲の存在とどのように相互作用することによって群行動が形成されているのでしょうか。
われわれの研究では現在、実際のメダカの群れを対象に、各個体が周囲の存在に対してどのようなルールに従って行動しているかを人工ニューラルネットワーク(ANN)によって学習しています。この学習したANNによって制御される個体の群れが群行動を形成すれば、ANNにより生物の行動規則を学習できることになるかもしれません。
 
 

 
左の動画はメダカの群れが泳いでいる様子です。この動画から、画像認識技術を用いて動画内での個体の位置を特定しています。これにより、個体同士の位置関係やフレーム間の位置の差分から各個体の速度を計算できます。これらの情報をANNの入力とし、実際のメダカがどのように動いたかを教師データとすることで行動規則を学習します。学習後のANNによって制御された群れが右の動画です。左右の動画でまったく同じ動きにはなっていませんが、群れて泳ぐ様子は再現されています。