振る舞いの相互作用による群行動の生成と解析

 
 
私は自然界で鳥や魚が形成するような群れに関する研究を、機械学習を用いて行なっています。
多数の個体が群れを形成し、一つの個体のようにふるまう現象は「群行動」と呼ばれ、魚や鳥など多くの生物に見られます。しかし、そのメカニズムの多くはまだ明らかにされていません。私は群行動における意思決定のための個体間コミュニケーションに注目し、そのメカニズムの解明を目的として研究を行なっています。
しかし、実際の生物の群行動を観察し、データを採集することは簡単ではありません。そこで私はシミュレーション上の「個体間コミュニケーションにより行動を決定」する個体が群行動の生成・維持を行うモデルを作成し、解析しています。シミュレーションを行うモデルは下図のようなセンサと車輪のみからなるシンプルなものを使用します。このモデルは脳の仕組みをコンピュータ上に再現したニューラルネットワークによって制御され、機械学習の手法の一つである進化計算によって行動を最適化されます。この最適化の際に「群を成しながら、遠くへ進む」というタスクが課せられます。モデルにはコミュニケーションを行うための特別な機能(通信機器など)は備えていないので、車輪を動かすことによる行動のみからコミュニケーションをとり、群行動を生成・維持しなければなりません。このようなモデルから出来た群行動を解析していきます。
 


 

下の動画は機械学習で生成した10個体により構成される小規模な群の振る舞いを示しており、動画内の青線は個体が作る群のネットワークを示しています。10体のロボットが1つの群として行動出来ていることがわかります。この群行動に対して解析した結果、各個体は位置と役割を流動的に入れ替え、ネットワークの密度を高く保つことで、その群行動を保っていることがわかりました。