予測の能動性とミスマッチ陰性電位

予測は,生物が環境に適応する際の最重要機能のうちの一つです.予測には大きく,受動的なものと能動的なものがあります.能動的な予測は,自発的運動が環境に及ぼす影響に対する予測で,受動的な予測は,音を聞くだけのような知覚の際に働く予測です.
 
予測の処理過程を明らかにする方法として,脳波の一種である事象関連電位(Event-Related Potential:ERP)があり,知覚や思考の過程で生じることが知られています.ERPには様々な種類がありますが,特に ミスマッチ陰性電位(Mismatch Negativity:MMN) は,予測と入力刺激との不一致により生じるERP成分で,受動的予測に対して惹起することが知られています.
 

MMNを計測するために一般的に用いられるオドボール課題では,高頻度と低頻度の刺激を用いて予測形成と予測不一致の発生を行います.
 
我々の研究では,刺激の呈示頻度が1:1で構成される非オドボール系列を用いた運動結果予測課題を行うことで,MMN が,能動的予測によって惹起するかどうかを検証しています.能動的予測を形成するため,図2のようにボタン押しを行ってもらい,また,それに応じてランダムに生じる2種類の音刺激の頻度を1:1とします.これにより,受動的予測が生じない設計とし,能動的予測のみに対する脳波を抽出します.